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小学校で「ここは日本です」「するんだったら出てけ!この学校から!ここはな、法律の国なんだよ」と言われたあなたへ(byケイン樹里安)



今回の松戸市の小学校でのいじめ事件に関して、マスメディアでは被害者のルーツに触れることに積極的でないようにおもいます。

今回の松戸市の事件に関して、マスメディアでは被害者のルーツに触れることに積極的でないようにおもいます。


一方で、各ソーシャルメディアでは被害者のルーツこそが前面にでているという状況にあります。 あらゆる事件に関してルーツに過大に注目することがベターであるとは言い難いのもたしかです。


たとえば、個人の特定が進むリスクがあげられます。 一方、これまで、事件がセンセーショナルであればあるほど、しばしば被害者or加害者のルーツを過大に取り上げられることもありました。


そういったことの、ある種の「配慮」として、今回の報道ではルーツが取り上げられていないのかもしれません。


その意味で、今回のコラムはそういった「配慮」とは異なる方向性をもつものです。


それが本当にベターなことなのか、正直今でも悩んでいます。


ですが、署名サイトでの痛ましい文言やご本人のルーツへの言及が多々見受けられるソーシャルメディアの動向のさなかで、HAFU TALKとして何もしないことがベターというわけでもないのではないか、とも考えました。


文末にも書きましたが、もし、ほかならぬご本人やご家族から、今回のコラムが「配慮」に反するものであるために、取り下げるようご連絡をいただきましたら、即座に取り下げる予定です。


なによりも、ご本人が平穏無事な日々を送れることを心より願っています。 以下のコラムはHAFU TALKメンバーのケイン樹里安が事件のことを知った直後に「ご本人へのお手紙」として執筆し、メンバーとの相談を経たのちに公開するものです。


ーーーー




あまりのことに、なかなか言葉を絞り出すことができませんでした。


千葉県の小学校に通うあなたに、明らかに海外ルーツであることに照準した棘だらけの言葉が浴びせかけられたこと。それも、教師によって。しかも、教師にけしかけられたクラスメイトにさらに殴られただなんて。


▼不適切な指導で児童3年不登校に|NHK 首都圏のニュースhttps://www3.nhk.or.jp/lnews/shutoken/20190215/1000025629.html


▼松戸の教諭ら、児童のけんか「あおる」 学校側謝罪も保護者納得せず | 千葉日報オンラインhttps://www.chibanippo.co.jp/news/national/571207


▼また「千葉県 松戸市 常盤平第一小学校:イジメっ子に指示してイジメ被害者を殴らせた教師は許せない!」というyoutube画像には被害を受けた子どもの録音データが公開されました。(※音声には暴力的な言葉遣いがありますので、閲覧されるときはご注意ください。 )



あなたに僕の言葉なんかが届くかどうかもわからないし、目に触れることで本当に届いたことになるのかもわからない。


怒りと哀しみと切なさがごちゃごちゃにまざりあった僕からの一方的な言葉にすぎないけれど、あなたのことをおもっています。あなたが許してくださるのなら、寄り添うことができたらいいのに強くとおもっています。


綺麗事しか吐き出せなくて、本当にごめんなさい。


「ハーフに限らず海外ルーツと身の回りの人を繋ぐメディア」のメンバーだと名乗っていながら、いま、ここで、何もできないことで悔しくて胸が張り裂けそうです。


身を守るために携帯されたICレコーダーに記録された2年前の音声。


その音声を聞いた僕なんかよりも、きっともっとずっと胸が張り裂けそうになりながら日々を過ごしてきたのであろうあなたに、当たり前の、何気ないふつうの日々がやってくることを心から願っています。


そして、願うだけではなくて、きちんと行動したいと思います。


棘だらけの言葉であなたを恫喝した人に、そんな言葉でどこかで誰かを恫喝しそうな人に、すでに恫喝してしてきた人に、そんな現場を知りながら止めることができなかった人に、批判できなかった人に、見て見ぬふりをしてきた人に、あるいは、あなたの感じた痛みとどこかで通じている経験をしている/してきた人に、届けられる言葉をきちんと編みたいと思います。


あなたが受けた痛みと、きっと違っているだろうけれど、それでもどこかで似ていることを経験した大勢の人が、あなたに思いをはせていると思います。


なぜなら、あなたが浴びせかけられた言葉やそこでの痛みは、これまで・いま・これから、いろんな状況で「ハーフ」や海外ルーツに向けられる/向けられてきた棘のある言葉やそこで現れた痛みとも、どこかでリンクしていると思われるからです。


さらには、いじめられたことや理不尽な目にあってきた人ならば経験した痛みとも、リンクしているからです。


瞬間風速的なバッシングが巻き起こっているのは、そのリンクがあらわになっているからだと思います。


このリンクは、普段は見えづらかったり、隠されてしまったりするのだけれど、たしかにこの社会に無数にある傷なのだと思います。


傷があらわになったあと、僕たちになにができるのか。

ずっと考えています。


このサイトを立ち上げたときに、「ハーフ」や海外ルーツと名乗り・呼ばれる人々が、ご家族やご友人が、すでに想いをはせている人たちが、そして先生と呼ばれる職についている人たちが手を取ってくださいました。


そのとき、手を取ってくださったような大勢の人たちが、あなたのことを考え、自分がその場にいたら何ができたのか、何ができるのか、と思いをはせていると思います。


いまのあなたが、どんなことを感じて、なにを考えているのか、僕にはわからないのだけれど、いつか、もしあなたが、もし、何か言葉を発したい、書き残しておきたいと思ったら、いつでも声をかけてください。


あなたの感じていること、考えていることは、ほかでもない「あなただけ」のことでもあるけれど、同時に「どこかの誰かと繋がっている」ことでもあると思っています。


静かにしておきたい、だまっておきたいとおもっていたら、その気持ちを1番大切にしてください。


情報が錯綜していますが、あなたが「ハーフ」であることをいくつかのメディアで知りました。


あまり大っぴらには報道されていないのかな、と思います。


もしかしたら、ルーツにはあまり触れないように、なんらかの「配慮」がなされているのかもしれません。


僕の書いた文章があなたのその属性に触れることがあなたにとって耐え難いのではないか、とも考えました。


迷いながら書きました。


1度世に放ってしまえば、それを取り戻すことはできないけれど、あなたがもしこの文章があることを少しでもイヤだな、と思ったら教えてください。すぐにこのサイトから消したいと思います。


このあたりで、いったん筆をおきたいと思います。


平穏な日々を「普通に送れる」ようになりますように。


じゅりあん




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