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【コラム】取るに足らない、鬼ごっこ

最終更新: 2018年7月8日





みなさま、HAFU TALKまで、

ようこそお越しくださいました。

じゅりあんです。



さて。

深夜眠りにつく前に、皆さまは何を思いますか。


今日1日に起こった、楽しいこと、嬉しいこと、思わず笑ってしまうようなことを思い出しながら眠りにつくことができたなら、それだけで、ちょっと幸せですよね。


でも、たまに、悲しいことや苦しいこと、思わず泣いてしまうようなことを思い出してしまって、なかなか眠れないこともありませんか。



ところで、小さい頃、僕は歴史の教科書や便覧のある部分がとてつもなく恐怖の対象でした。

どうか、どうか、その部分が来ませんように。誰もページをめくりませんように。先生が授業でやることを忘れてしまいますように。



鬼畜米英。



フレーズでも、なにかの写真でも。


第2次世界大戦中の日本国内の状況を、鮮やかにうつしとるような印象的な言葉なのでしょう。

教科書や便覧にその言葉が書かれていたり、映っている部分を見ると胸がきゅうっと締めつけられていました。


アメリカにルーツをもつ「ハーフ」である自分。

嫌われたらどうしよう。避けられたらどうしよう。


そんな具体的な言葉にする前に感じる、じっとりとした重たい不安と恐怖と焦り。

幼いながらに平静を装いながら、手のひらに浮き出てくる汗はごまかせませんでした。



鬼畜米英。



たしか放課後だったと思います。

公園に向かう坂道で、坂の上から、同級生にそう言われたのです。



あぁ、やっぱりな。



最初は無視しようとがんばったのですが、何度も何度も、彼は繰り返しました。

まわりの子は授業で習ったばかりの言葉をさっそく「たくみに」操った彼の言葉に笑っています。


ココでなにか言い返したりしないと、ずっと言われそうな気がして、思わずそう言った相手に向かって走り出しました。


「うわあ」と言いながら走りだす彼。

あっという間に鬼ごっこのはじまり。


ただ、この鬼ごっこには変則ルールがあって。基本的に僕だけが鬼。

相手をつかまえても、それは同じ。


誰を捕まえたって、ほかの子はひやかしながら逃げるだけ。

1人の時もいれば、何人かいる時も。

そのうち、みんなが飽きれば鬼ごっこは終わります。

そのうち、なくなりました。

しばらくは。


つかの間の休息にホッとしながらも、

誰かがまた教科書のその部分を見つけるのが怖くて怖くてしょうがなかった。


だから、鬼ごっこが続いていた最中も、

それが飽きられたときも、

それが忘れられたときも、

なかなか眠れませんでした。


深夜眠りにつく前に、不安でいっぱい。

また鬼ごっこが始まるのではないか。


というか、鬼ごっこがなくなったとしても、これからも自分は「ハーフ」であるということだけで、何かしらイヤなことばかりが起こるのではないだろうか。

ずーーーーーっと続くんだろうか。



たぶん、「誰にだってある」ような「どこか見慣れた光景」なんだと思います。


そうかもしれない。


「ハーフ」や「海外ルーツ」の子に限ったことではない。

「誰にだってあるし、どこか見慣れた光景だから、ほっといてもいい」

「わたしだってそれと似た経験がある、でもなんとかなったんだ、だからあえて言おう、耐えろ、スルーしろ、それが成長だ」

「あたりまえの日常だろう、取るに足らないことだ」


きっと、このコラムにも、そんな言葉が押し寄せてくるでしょう。

だからこそ、なんとかしたいのです。


「しんどい」と声をあげた人々に、それは大したことではないと口をふさぐ言葉が、耐えるようにアドバイスしてみせるだけの言葉が、諦めさせる言葉が、どこかの誰かが言ったのかもわからない借り物の言葉が、味気ない言葉が、世の中にあふれすぎていないでしょうか?



もう、いいでしょう(笑)

もう、よかろう(笑)

もう、2018年だよ!



借り物の言葉を振り回すのはやめて、そろそろ、新しい言葉をみんなで一緒に、ひねりだしてみませんか。


そんなところから、HAFU TALKのTALKを始めていきたいと思います。


「ハーフ」や「海外ルーツ」という「くくり」にしっくりきている方、しっくりこない方、入れられてしまっている方、入りたくない方、入らない方、僕の個人的な鬼ごっこの話なんかにおさまりきらない色んな経験をもった方々。


あなたのTALKが必要です。


公開中のコラムでも、そして、これから公開されていくコラムやコンテンツでも。


せめて、深夜眠りにつく前に少しだけホッとしたり、思ってもいなかった発見があったり、「自分と似てるなぁ」「自分の場合はこうだったけど、そうゆうこともあるんだなぁ」とすこし共感できるモノにあふれた場所。


それは「ハーフ」や「海外ルーツ」の人だけではなくて、その友達や家族や恋人、学校や職場にいる彼ら・彼女らの身近な人々にとっても、意味のある場所になればいいなと思っています。


みなさんが知っておられるように、あるいは思いをはせて下さっているように、

「ハーフであること」「海外ルーツであること」にぶんぶんと振り回されてしまうことは、本当にどうしようもない、日常なのです。


日常だからこそ、「誰にだってあるし、どこか見慣れた光景だから、ほっといてもいい」「わたしだってそれと似た経験がある、でもなんとかなったんだ、だからあえて言おう、耐えろ、スルーしろ、それが成長だ」「あたりまえの日常だろう、取るに足らないことだ」といったテンプレな言葉が、ぬるっと入り込んできてしまうのだと思います。


でも、だからこそ、どこかの誰かが言ったのかもわからない借り物の言葉で、誰かの「しんどい」を封じ込めて、閉じ込めて、押し流すのは、もうやめにしたいと思います。

その、きっかけの1つをHAFU TALKでつくりたいと思います。



今はどうにも自腹でやりすぎていて、なかなか毎日の生活が大変なのですが、クラウド・ファンディングで応援をお願いしながら、少しずつ、でも確実に、HAFU TALKをベターな場所にしたいと思います!


もう誰も、あんな鬼ごっこをさせられることがありませんように。

今、鬼ごっこをさせられている子の、相談に乗れますように。居場所になれますように。


鬼ごっこなんて言葉では「くくれない」ほどの多くの経験があふれだして、そこから、「こらからどうやって、マシな状況にしていくか」をみんなで考えて、誰かを動かす言葉をみんなでひねり出せますように。

夜、ぐっすりと眠れますように。


ライター:ケイン樹里安

twitter: @Juri1juli1


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